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お話書いてみたよー

ツイッターの方ではちょいと呟きましたが、
思いつきのネタで短編のお話を書いてみました。
一話完結にしようと思ってたんですが、区切り良いとこで切ったら2話にw

というわけで今日は前編を載せます。
タイトルは『疫病神』です。



学校の帰り道。
私、須藤奈央(すどう なお)は、今日も同じ道を歩く。
代わり映えのしない毎日だけど、私はそれが好きだった。

歩道橋のある道路が見えてきた。
ここでつい先日、交通事故があったらしい。

いつもと変わらない風景。
だけど、道路脇に添えられた花だけが、いつもとは違っていた。

奈央「・・・あれ?」

花の近くに男の子がいる。
事故にあったのは若い男の人だと聞いていたけど、子供でもいたのだろうか。
見たところ10歳かそこらに見えた。

この時間は車の通りが少なく、今も道路を走るのは数えるほどしかいない。
まだ赤信号だけど、渡ろうと思えば渡れるかな。
私がそう考えた時だった。

奈央「あっ!?」

突然その子供が道路に出てきた。

車がきているかなんて気にする様子もなく、
普通に歩いてきて、道路の真ん中で止まった。

奈央「ちょ、ちょっとキミ! なにしてるの!?」

驚いた私がそう声をかけると、子供は怪訝そうにこちらを見て

子供「うるさいぞオマエ」

ただ一言そう言った。

奈央「うるさいって・・・あっ!」

向こうからトラックがやってきた。
子供は気付いていないのか、全く道路から離れる気配がない。

奈央「ちょっと!」
子供「うるさいぞ、静かにしろ!」

やはり道路から離れそうにない。
トラックはトラックで、しゃがんでいる子供が見えていないらしく、
止まる様子がない。

奈央「っ~~~もう!」
子供「うわっ!?」

私は道路から飛び出すと、しゃがんでいた子供をかかえ、
そのままダッシュで渡り切った。

普段、運動らしい運動をしていない割には、子供をかかえてよく走れたと思う。
火事場のばか力ってやつかな?

奈央「危なかったぁ~;」
子供「オマエなんてことするんだ! おかげで不幸の気配を見失ったじゃないか!」

不幸の気配? 一体なんのことだろう?
いや、それよりも、命を助けられておいてなんて言い草だろう。

奈央「あのねキミ、もうちょっとで轢かれるところだったんだよ!?」
子供「ふん、オイラが轢かれたくらいで死ぬわけなかろう」
奈央「くらいって・・・はぁ、キミどこから来たの?」
子供「あっちだ」

そう言って子供は奈央の家の方向を指差した。

奈央「家、あっちなの?」
子供「違うぞ? オマエがどこから来たのかと聞いたから答えてやったんだ」
奈央「そういう意味じゃ・・・じゃあ名前は?」
子供「疫病神だ」
奈央「は?」

ヤクビョウガミ?
聞き間違えでなければ、この子は確かに自分の事を疫病神と言った。

どういうことだろう。
ひょっとして親に疫病神と言われて虐待でもされているのだろうか。

疫病神「いや、名前なんてどうでもいい! おいオマエ!」
奈央「え?」
疫病神「さっきはよくも邪魔してくれたな! 謝れ!」
奈央「えっ・・・ちょ、なんで私が謝らないといけないの! 助けたの私だよ!?」

驚いて抗議すると、疫病神と名乗る少年は、顔を真っ赤にしてさらに怒った。

疫病神「ぬぅ~~~謝らないつもりだな! ならオマエに憑いてやる!
    オマエから不幸を奪うまで一生憑いてやるぞ!」

奈央「はぁ? も~訳分かんないよこの子・・・」

どうしたものかと溜息をつく奈央。
と、さっきまで怒っていた少年は急に真剣な顔つきで辺りをキョロキョロし始めた。

奈央「・・・どうかしたの?」
疫病神「不幸の気配だ・・・かなり近いぞ!」
奈央「は? どういう・・・」
疫病神「あいつだ!」

奈央の質問に耳を貸さず、少年は歩道橋を指差した。
見ると見知らぬおばさんが立っていた。
白髪交じりの灰がかった髪から、奈央は50歳過ぎぐらいだろうと思った。

奈央「あの人がどうか・・・あれ?」

振り返ると、そこに少年の姿はなかった。
奈央は少し先に目をやり、歩道橋の階段に少年の姿を確認した。

奈央「もうなんなのよぉ~;」

少年が何か良からぬ事をするのではないかと思った奈央は、
乗りかかった船と思い仕方なしに少年を追いかけた。

歩道橋にやってくると、少年は遠目におばさんを見たまま立ち止まっていた。
その目は、なんとなく品定めをしているように思えた。

このおばさんがなんだというのだろう。
奈央もおばさんを見た。その表情はとても寂しそうに見える。

奈央「あのぉ~・・・」
おばさん「?」
疫病神「おいオマエ、今不幸だな?」
奈央「ちょっ!?」

いきなり何を言い出すのだろう。
確かにあまり幸せそうには見えないけど・・・。

おばさん「・・・そうだね、とっても不幸だよ」
奈央「(当たってた・・・)」
おばさん「あそこにお花が見えるだろ?」

そう言うと、おばさんは道路脇にあった花を指差した。
交通事故にあった人に向けて置かれたあの花だ。

おばさん「あそこでね・・・おばさんの子が事故にあって・・・死んでしまってっ!」
奈央「えっ!?」

堪え切れず、涙を流す。
事故があったのはつい先日。
このおばさんは、子供を亡くしたばかりなんだ・・・。

おばさん「・・・だからおばさんね、もう生きていてもしょうがないの」
奈央「!!」

そう言うと、おばさんは歩道橋の手すりに足をかけた。
そう、この人はここに自殺をしにきたのだ。

奈央「だっ・・・!」

ダメ、と呼び止めようとした時、おばさんの隣にいる少年の姿が目に入った。
いつの間にあんなところに・・・。
奈央が唖然としている中、少年はおばさんの服の袖を掴んだ。

疫病神「オマエの不幸をいただくぞ」

すると、おばさんの体から光の塊のようなものが飛び出してきた。
そしてその光は、そのまま少年の体に吸い込まれるように消えていった。

奈央「え・・・なに、今の?」

光が消えると、少年は掴んでいた手を離し、奈央の方へと戻ってきた。

奈央「ちょっと、いいのあの人?」
疫病神「ん? もう不幸は奪ったぞ?」
奈央「不幸を奪ったって・・・」
疫病神「ああそうだ、オマエ」

振り返り、少年はおばさんの方を見た。

疫病神「オマエ変わってるな。生きてるのに自分から死にたがるなんて」
おばさん「・・・うぅっ・・・!」

その言葉を聞くと、おばさんはかけていた足を降ろし、その場に泣き崩れた。
どうやら自殺をするのはやめてくれたようだ。

それから、落ち着いたおばさんは何度もお礼を言ってから帰っていった。
それにしても、あのおばさんから出た光はなんだったんだろう?
それにこの子・・・まさか本当に・・・?

奈央「って、なんでついてくんのよ!?」
疫病神「言っただろ、オマエから不幸を奪うまで一生憑いてやるって」
奈央「ついてって・・・まさか本当に?」
疫病神「なに言ってんだオマエ、変な奴だな」
奈央「・・・・・・ウソでしょぉーーーーー!!!」

こうして、私と疫病神の生活は始まった。
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