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succession eyes ~重なる世界~ 第13話

第13話です。
文量的には折り返し地点ですが、物語的には終盤差し掛かってます。
ついに始まったアクアライズドラゴン討伐。
暴走する理沙にナナが取った行動とは・・・?

次回更新は金曜日の予定です。
今回もこちらで裏話載せてます。




理沙が奈々と共に教室に入ると、
早めに家を出たというのに教室には既に他にも生徒が来ていた。
みんないつもより騒がしく、賑やかといった雰囲気でもない。
何があったのだろう?

奈々「何かあったの?」
女子生徒A「あ、奈々! 昨日のニュース見た!?」
奈々「ニュース?」

奈々は宿題に追われてそれどころではなかった。
それを知っている理沙が横から説明した。

理沙「奈々ちゃん、今日の現国の宿題やってなくてテレビ見てなかったんだって」
女子生徒B「現国・・・」
理沙「ニュースって、あのコウモリの?」
女子生徒A「うん・・・一般人は5人死んだって言ってたでしょ?
       現国の前田先生、そのうちの1人だって・・・」

理沙も奈々も息を呑んだ。
特に理沙は、昨日も帰り際にその先生と廊下ですれ違って挨拶をしていた。
話によれば、前田先生は帰宅途中に『あの生物』に襲われたらしい。
理沙のクラスだけでなく、他のクラスでもその話題で持ちきりだった。




聡「コースケ!」
コースケ「分かった」

聡の呼びかけにコースケが応え、近くに待機する。
コースケの位置を確認し、聡は銃に魔力を込めていく。
途端、理沙への攻撃をやめ、アクアライズドラゴンは聡の方を向き直す。

聡「!!」
A.R.ドラゴン「ギャオオオオオオオオオオオオオ!!」

咆哮と共に聡に向けて無数の水の塊が放たれる。

コースケ「ナナ、頼む!」
ナナ「ったく、こっち忙しいのにぃ!」

ブルーバレッドはコースケとナナのコンボ攻撃によって阻まれた。

コースケ「防御壁は貫けなかったが、相殺ぐらいはできるようだな」
A.R.ドラゴン「ガオオオオオオオ!!」

アクアライズドラゴンが雄叫びを上げる中、聡のセブンリボルバーが輝きを纏った。
それは弾丸の生成が完了した事の証でもある。

聡「よし!」

すぐさまアクアライズドラゴンに向けて銃を構える。

聡「行くぜ、マイ・フェイバリット・ショット。『レーザー』!」

セブンリボルバーが一層輝きを増し、一筋の光が放たれる。
聡が放った【レーザー】とは『ロック』と『スパイラル』、
それに『ジェット』よりさらに早い『ソニック』と弾丸を光質化する『フラッシュ』、
そして着弾時に弾丸を爆発させる『バースト』を組み合わせた聡の最強弾。

光の速度で放たれるこの攻撃を避ける事は不可能であり、
弾丸は着弾時に爆発する上に貫通力はピアスを遥かに凌ぐため、
当たればほぼ確実に相手を倒す事ができる。
・・・が。

A.R.ドラゴン「キュアアアアアア!」
聡「!?」

聡の魔力の変化に気付いていたアクアライズドラゴンは、
聡がレーザーを放つのとほぼ同時に水の防御壁の形状を、
レーザーの軌道とほぼ同一のものに変えた。
魔力によって圧縮、固定された水の防御力は凄まじく、
本来ならアクアライズドラゴンの体を悠々貫けていたはずが、
尾の一部を吹き飛ばすだけに留められてしまった。

聡「くそっ、さすがは上位種・・・あの一瞬であそこまで」
コースケ「水で攻撃を緩和、さらに尾を持ってきて体への直撃を避けたのか」

すかさず魔力を込め直す聡。
しかし今度はアクアライズドラゴンの魔力が変化する。
この変化パターンは・・・。

聡「俺のマネする気かよ!」
コースケ「避けろ! 俺の攻撃じゃ相殺しきれないぞ!」
聡「だめだ! 今魔力を込めるのを止めたら、もうレーザーは作れない!」

レーザーはその性質上、弾丸ができるまで継続して魔力を込めねばならず、
しかも急速に劣化するために作り置きもできない。
もしここで魔力を込めるのを止めれば、未完成の弾丸ができてしまうのだ。

コースケ「死んだら元も子もないだろ!」
聡「あと少し・・・あと少しで・・・!」

聡がレーザーを作るより早く、アクアライズドラゴンは攻撃態勢に入った。
聡は命の危険を感じた・・・が、同時に違和感を覚えた。
それは真希も感じていた。アクアライズドラゴンの注意。
目も、体も、確かに聡を見据えている。
だが注意がこちらを見ていない。どこか別の方向を・・・後ろ?

聡「しまっ!」
A.R.ドラゴン「カアァッ!!」

くるりと後ろを振り向き、一点に集中した水を高圧縮して放つアクアライズドラゴン。
速度こそ劣るものの、貫通力は聡のレーザーと同格を誇る。
それを後ろに、理沙に向けて放ったのだ。

理沙「!!」
聡「理沙ぁ!!」




現国の時間は当然自習となった。
担任の教師がやってきて、葬式に参加する者の名簿を作った。
参加する者しない者、それぞれいたが、
奈々に聡に耕介、そして理沙も、参加に丸をつけた。
4人とも、そこまで思い入れがあるわけではなかったが、
なぜか葬式に参列しなければと思っていた。

奈々「昨日の落雷といい、本当・・・ビックリよね」
理沙「うん・・・」

昨日ニュースを見た時は、身近な場所ながら、
どこか自分には関係ない事のように思っていた。
しかし、昨日まで学校で見かけていた教師が死んだ事で、
その恐怖がより近しいものとなってしまった。
どこから出てきたのか? 本当にあの1匹だけなのか?

奈々「・・・理沙が考えたって仕方ないわよ」
理沙「え?」
奈々「ニュースでも言ってたんでしょ? 1匹しかいないって」
理沙「あっ・・・声に出してたかな?」
奈々「顔見たら分かるわよ」
理沙「うん・・・」

最近、理沙には確かに色々とあった。
突然“誰か”と話したり、校庭に雷が落ちたり、高校の先生が死んだり。
落ち込むなという方が無理な話だ。俯きがちな理沙を見ているのは辛かった。

奈々「・・・そうだ!」
理沙「?」
奈々「今日うちに泊まりに来なさいよ!」
理沙「え・・・でもこんな時に」
奈々「こんな時だからよ! それにほら、あたしだってちょっと怖いしさぁ」

もちろん嘘だ。
厳密には嘘と言うわけでもないが、
奈々は本当に怖がっている時ほどそういう部分を見せない。
本心は理沙を元気付けるためであり、理沙もその気遣いに気付いていた。

奈々「ね?」
理沙「・・・うん」

理沙さんとは話せないな。
そう思う傍ら、やけにいつもより奈々と一緒にいたいと思った。
奈々までいなくなってしまうような、そんな不安に駆られていた。




理沙「・・・・・・?」

放たれた攻撃。それは理沙には当たらなかった。
『何か』に押されたお陰で理沙は攻撃を避けられたのだ。
しかし理沙にしてみれば、自分に攻撃が当たっていた方が幸せだった。
横の『それ』を見て心からそう思った。

聡「くそっ!!」

弾丸を生成し終えた聡は、再びアクアライズドラゴンに向けてレーザーを放つ。
『狙った獲物とは別の獲物』に攻撃が当たった事を確認していた
アクアライズドラゴンは一瞬反応が遅れる。
その反応の遅れが致命的となり、レーザーはアクアライズドラゴンの心臓部分を捉えた。

コースケ「当たった!」
聡「これなら!」

既に最初のレーザーによって水の防御壁は破壊され、
弾は完全に命中。アクアライズドラゴンの胸元が弾け飛ぶと、
そのままゆっくりと倒れた。

理沙「奈々・・・奈々ぁ!!」
奈々「理沙・・・無事みたいね」
理沙「奈々・・・なんでっ!!」

スッ、と奈々は血まみれのマリオネイターを取り出し、それを理沙に取り付けた。

理沙「・・・?」
奈々「理沙・・・さっきの薬を吐き出しなさい」
理沙「え・・・うっ、げほっ! げほっ!」

奈々の命令を受け、理沙はマリアンヌに渡された薬を吐き出した。
それを確認すると、奈々はマリオネイターを外した。

理沙「どうして薬を・・・」
奈々「あの薬、多分あんたのにだけ・・・うっ、げほっ!
   ・・・攻撃的になる作用の薬物が・・・入ってた・・・」

理沙「えっ!?」
奈々「色んな感情を・・・しは・・・い・・・してきた・・・から、
   分かるのよ・・・あれが作り物の感情だって」

理沙「奈々・・・!」

理沙はさっきから胸を止血している。
だが貫かれた心臓からは止め処なく血が流れ出し、
自分のしている事が無意味な事だと痛感させる。

理沙「奈々・・・なんで庇ったりなんか・・・」
奈々「約束・・・したでしょ・・・」
理沙「・・・え?」
奈々「理沙の事・・・何があっても・・・守るって・・・」
理沙「・・・!」

そこに聡もコースケも駆けつけた。

聡「おいナナ! しっかりしろ!」
奈々「・・・聡、よく聞きなさいよ」
聡「・・・なんだ?」
奈々「今度から、理沙を守るのはあんたの役目だからね」
聡「ああ」
奈々「理沙に何かあったら・・・承知しないからね」
聡「・・・ああ」

理沙を想うナナの優しさに、自然と聡も涙を流していた。
聡にとっては初めて見る『奈々』の姿だった。

奈々「理沙・・・」
理沙「・・・奈々」
奈々「あんたは・・・こうなっちゃ・・・だ・・・め・・・」
理沙「!」

奈々の目が、静かに閉じられた。
巨大な竜の横で、小さな仲間を抱きしめ、理沙は静かに泣いた。
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