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succession eyes ~重なる世界~ 第14話

第14話です。
奈々を失った理沙。その理沙にさらなる・・・。
一方、亡くなった教師の葬式に行った理沙は・・・?

次回更新は火曜日の予定です。
昨日みたいにインターネット繋がらなかったら翌日になりますが、
まぁないだろうと信じたい・・・。
今回もこちらで裏話載せてます。



葬式が終わり、4人はそれぞれ家路に着いた。
聡は理沙を家まで送ろうかと思ったが、奈々に泣きつく姿を見て、
今日は2人にした方が良いだろうと判断した。

奈々は驚いていた。
理沙が泣いた事に対してもだが、自分に泣きついてきたのが驚きだった。
てっきり聡の方へ行くと思っていたからだ。
最近は夜にメールをしたりして仲が進展したようだったから。

実を言うと昨日の夜、理沙が奈々の家に泊まった時にも聡からメールが来た。
内容は理沙を心配するもので、奈々としては嬉しかったが、
理沙はあまり聡君に心配をかけたくないという表情をしていた。

もし『あの生物』が学校に現れたとしたら聡君はどうしただろう?
何かあっても俺が守ると言ってくれた。
嬉しかった、けど私のために死んだりしたら・・・。
それは奈々に対しても言える事だ。

理沙はそんな風に考えている事を、昨夜奈々に話していた。
自分のために何かあってほしくはないと。




聡「報告は以上です・・・」
上官「うむ・・・」

重たい空気が流れていた。
殉職した戦士は基地の傍でしめやかに弔われる。
奈々の遺体はコースケが基地まで運んだ。
理沙は基地に戻ってからもずっと俯いている。
その悲しみは、聡にも痛いほど伝わってきた。

上官「多大な犠牲を払った・・・惜しい人材を失ったものだ」
理沙「・・・・・・」
上官「彼女の方は大丈夫だと良いんだがな」
聡「理沙も・・・大事な戦友を失って辛いでしょうから・・・」

すると上官は意外そうな顔をした。

上官「ん? ああそうか。確かにリサにとっては他の者より悲しい出来事だな」

上官の言い方は奇妙だった。まるで今その事実を思い出したような様子だ。
彼女とは理沙の事を言っているのではないのか?
と、不意に理沙は何かに気付いた。

理沙「・・・上官」
上官「なんだね?」
理沙「真希はどこですか?」

理沙の言葉で聡も気付いた。確かに真希の姿が見当たらない。
思えば作戦終了時から気になる事があった。
本部に帰還を告げた際、上官は帰りのルートを指定しなかった。
結果的に魔獣と出会わなかった事、聡達もそれどころではなかった事から、
その時は気にしなかったが、なぜ帰りのルートは指定されなかったのだろう?

上官「マキは・・・」
理沙「・・・・・・」
聡「・・・・・・」

少しの沈黙の後、上官は無表情で言った。

上官「マキは集中治療室で治療を受けている」
理沙「!!」
聡「なっ!?」

基地にいただけの真希がなぜ治療を受けているのか、聡には分からなかった。
理沙は分かっていた。
というより、作戦が決定した時に既に危惧していた事だった。

聡「どうしてそんな事に!?」
上官「・・・脳への負荷がかかりすぎた。君達4人にマキの感覚を送るという事は、
   君たちの感覚を強制的にマキに送るという事でもある。
   それに耐えられなかったのだ」

理沙「ッ!!」

突然理沙は上官に掴みかかった。聡は慌てて取り押さえにかかる。

理沙「作戦前に言ったじゃないですか! 真希の脳は耐えられるのかって!
   それを無理に強行して・・・あなたの責任よ!!」

聡「理沙落ち着け!」
理沙「だって!」
???「いいえ、これは貴女の責任ですわMiss.リサ」

振り向くと、そこにはマリアンヌが立っていた。
いつもとなんら変わらない、上品な笑顔を浮かべて。

理沙「どういう意味・・・」
マリアンヌ「ある程度の負荷は予想の範囲内。
      だからその負荷を軽減させる装置を用意した。
      けど、その装置でも軽減しきれない強い負荷がMiss.マキの脳にかかった。
      何かお分かりかしら?」

理沙「何だっていうの・・・」

マリアンヌの回りくどい態度に理沙は苛立ちを覚えていた。

マリアンヌ「貴女よMiss.リサ。貴女の感情」
理沙「感情?」
マリアンヌ「そう。Miss.ナナが死んだ時、貴女は悲しんだ。とても強い感情で。
      それが原因となってMiss.マキの脳に多大な負荷を与えた。
      つまり、貴女のせいというわけですわ」

マリアンヌから笑みは消えていた。
理沙の表情には、怒りよりも驚きが強く出ていた。

理沙「そんな事・・・」
マリアンヌ「それに、Miss.ナナは貴女を庇って死んだ。
      貴女が無謀な行動を取ったばかりに・・・」

理沙「それは・・・あなたが変な薬を入れたから!」
???「言いがかりはよしていただきたいわ、Miss.リサ」

いつの間にかミリアンヌが後ろの椅子に座っていた。
マリアンヌとの話に夢中で気付かなかったらしい。

ミリアンヌ「あの薬は説明したとおり、身体と魔力を強化するだけの薬。
      それに、貴女以外の3人もしっかりと飲んでいてよ?」

理沙が反論しようとした時、上官がそれを阻止した。

上官「リサ、上官に手を上げる事は重罪だ。
   とはいえ、大事な戦友を失ったばかりで気が動転していたのだろう。
   情状酌量を考慮し、3日間独房での謹慎処分を命ずる」

できれば理沙を庇いたかった。しかし聡にはそれができなかった。
確かに上官に掴みかかったのはまずい。どんな理由があってもだ。
本来なら謹慎処分として1~2ヶ月は幽閉されてもおかしくない。
それがたったの3日。ここで抗議しては理沙の立場がさらに危うくなる事も有り得る。
そう考えたのだ。

理沙「・・・はい」

理沙もそれは分かっていたらしく、短く返事をしてからは再び俯いたままだった。
もしかすると分かっていたのではなく、
友を失ったのは自分のせいだと思っていたのかもしれないが。




家に着いた。
落ち込んだ姿を見て両親も心配していたが、
大丈夫、とだけ告げて自室へ向かった。1人で考えたい事があった。

あの生物は何だろう?
どうやって生まれ、どこから来たのだろう?
たった1つ、理沙には思い当たるものがあった。

毒の牙を持ち人を襲う。
ゲームの敵キャラにありがちな設定だ。
しかし、そんなゲームのような生物は実際のところ存在しない・・・この世界には。

携帯が鳴った。メールのようだ。
メールは聡からだった。よほど心配なのだろう。
その優しさが今は辛かった。返事は打たずに携帯を閉じた。
1人で考えたいと思ってもお腹は減る。
母親に呼ばれ、理沙は気落ちしながらも居間に向かった。




独房は地下にある。三方を石壁に囲まれたとても狭い部屋だ。
そこに理沙の姿があった。
既にこの独房に入れられてから24時間が経過していた。

何度か聡が訪れた気もするがどうでも良い。
ただ静かに1人の時を過ごしたかった。
今の理沙にとっては、この暗く冷たい独房が良かった。
いつまでも弱い自分を責めていられるから・・・。

運ばれた食事が冷え切ってから大分経った頃、理沙はある事を思った。
そういえば彼女はどうしているだろう?
ここにいる間は話せないだろうな・・・。

・・・真希が言っていた。
繋がっている時、私の魔力が強くなっていたと。
それは私も感じていた。身体中に力が漲るのも感じていた。
繋がる度にそれが強まっているのも感じていた。
あの力さえあれば、奈々は死なずに済んだだろうか?
あの力さえあれば、真希に余計な負荷をかけずに済んだだろうか?
あの力さえあれば・・・。




謎の生物が射殺されてから-前田先生が死んでから、
まだ2日しか経ってないが、学校はもういつも通りだった。
生徒は昨日見たテレビの話をし、教師は教科書を片手に授業を進めていた。

帰りのホームルームも終わり、部活のない生徒は帰宅するのみ。
聡は理沙と一緒に帰ろうかと思った。今日は部活が休みだからだ。

聡「あのさ篠崎、良かったら一緒に・・・」
理沙「あっ、奈々ちゃん! 一緒に帰ろっ!」
奈々「え?」

奈々の返事も聞かず、理沙は奈々を連れて行ってしまった。
朝からそうだった。
聡が話しかけようとする度に理沙は誰かに話しかけにいく。
まるで・・・。

耕介「避けられてね?」
聡「っ!」

そう思いつつも否定していたのに・・・。

耕介「何? ケンカでもしたの?」
聡「いや・・・」
耕介「じゃあ怒らせたとか?」
聡「・・・わかんねぇ」
耕介「?」

耕介は篠崎も俺の事が好きだと言っていた。
まさかと思いつつも、どこかでそうだと思い始めていた。
篠崎と話しているだけで胸が高鳴った。
篠崎からメールが来るだけで心が弾んだ。
篠崎も同じ想いなのかと思うと幸せでたまらなかった。

・・・しかし、そう思っているのは俺だけなのかもしれない。
篠崎は俺の話に付き合ってくれただけで、本当は迷惑していたのかもしれない。
そう考えると悲しくなった。

奈々「ねぇ理沙」
理沙「なーにー?」
奈々「・・・なんでさっき、聡君の事避けたの?」
理沙「・・・・・・」
奈々「さっきだけじゃないよね? 今日の朝からずっと避けてたでしょ?」
理沙「・・・そんな事ないよ~! たまたまタイミングが合わなかっただけー」

理沙は笑っていたが、奈々には無理をしてるようにしか見えなかった。
訳を聞きたかったが、話してはくれないだろうと思ってやめた。
それに思い当たる事もあった。一昨日の夜の事が・・・。

家に帰りテレビをつけるとニュースがやっていた。
絶滅したはずのニホンオオカミが確認され捕獲されたそうだ。
理沙は気に留めなかったが、ニホンオオカミが捕獲されたのは、
つい2日前にあの生物が見つかった場所のすぐ近くであった。
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