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succession eyes ~重なる世界~ AfterStory

前回の終わりから数週間後のお話です。
思った以上に長くなったw
のほほんとしたお話になっております。お楽しみくださいませ~。



理沙「聡くーん! こっちこっち!」

自分を呼ぶ姿を見つけ、そこに駆け寄って行く。

聡「早いな理沙、まだ待ち合わせまで20分はあるのに」
理沙「楽しみで待ちきれなくて♪ 行こっ!」

2人は遊園地に来ていた。
なぜ遊園地に来ているのか? 時は12時間前まで遡る。



聡「遊園地?」
理沙「うん。明日なんだけど、ダメかな?」
聡「良いけど、何で急に?」
理沙「え? ええっと・・・あっ! 奈々・・・ちゃんがねっ、楽しいよっていうから!」

それは理沙からのデートの誘いであった。
が、聡にはどうやらその意図が伝わっていないようだ。

聡「へぇー。あいつ遊園地とか好きそうだもんなぁ・・・
  じゃあ笹川と、それに耕介辺りも誘ってみんなで行こうぜ!」

理沙「へ?」
聡「あぁ、理沙さんも誘うか。遊園地とか行った事ないだろうし」
理沙「ちょ、ちょっと待ってっ!」
聡「ん?」
理沙「えと、その、2人が良いっていうか・・・」
聡「2人?」
理沙「うん、聡君と2人・・・」
聡「・・・あっ」

そこまで言われ、ようやく聡も理沙の意図に気付いた。
途端に顔が赤くなるのが分かった。

聡「そ、それって・・・?」
理沙「うん・・・」
聡「そ、そうかぁ~あはははは。わぁ、分かった。明日だな、うん」

言いながら電話を切ってしまった。
場所や時間を言ってないのだが・・・。

理沙「はぁ・・・もぅ」

理沙は聡に、明日の待ち合わせ場所と時間をメールで送ったのだった。



聡「それにしても遊園地かぁ」
理沙「ダメだった?」
聡「いや、俺は好きだぜ。なんか定番って感じがして」
理沙「定番・・・確かに
聡「ん?」
理沙「ううん、なんでもない!」
聡「? まぁいいや。それにしても久しぶりだよなー遊園地なんて」
理沙「・・・聡君は来た事あるの?」
聡「そりゃあな」
理沙「・・・誰と?」

理沙の声のトーンが1オクターブ低くなったような気がした。
なんだか怖い。

聡「こ、子供の頃にお袋とだけど・・・」
理沙「あ、お母様と。なーんだ♪」
聡「あ、ああ(なんかこえぇー・・・)」

他愛ない話をしながら、2人はどの乗り物に乗ろうかと歩いていた。

聡「(理沙って絶叫系とか苦手そうだよなぁ・・・)」
理沙「・・・・・・」
聡「あの辺でも乗るか?」
理沙「ん?」

聡が指さしたのはメリーゴーランド。
対して理沙が指さしたのは・・・?

理沙「んー私はあっちに乗りたいかなぁ」
聡「・・・え?」

その遊園地最大の目玉アトラクション。
日本一の長さを誇るジェットコースターだった。

聡「あ、あれに乗るのか?」
理沙「うん、この紙にもオススメって書いてあるし」
聡「でも、あれは理沙には刺激が強いと思うけどなぁ~」
理沙「だいじょーぶ。慣れてるもの!」

そう言うと理沙は聡の手を引いて列へと向かう。
だが、列に着いたところでなぜか理沙は手を振りほどく。

聡「?」
理沙「手・・・繋いじゃった」
聡「あ、ああ・・・」

楽しそうに向かったかと思えば急に恥ずかしそうに照れる理沙。
そのギャップに思わずドキリとしてしまった。

聡「そういえば、待ち時間たったの15分なんだな」
理沙「うん?」
聡「ジェットコースターなら120分待ちとか有り得るだろうに」
理沙「そんなに並ぶの!?」
聡「遊園地ならそれぐらいしょっちゅうだぜ?」
理沙「そんなに・・・時間の浪費だわ」
聡「言えてる。でもなんでこんな列少ないんだろうなぁ・・・」

その理由は乗ってすぐに分かった。
分かると同時に、聡は乗った事を後悔した。

聡「も、もう乗らねぇ・・・
理沙「楽しかったぁー!」

うなだれる聡とは対照的に、理沙の表情は活き活きとしている。
早くも次の乗り物を探しているようだ。

聡「理沙・・・ああいうの平気なのか?」
理沙「もちろん! あっ、次はあれ乗ろ!」
聡「ウ、ウォーターフォール・・・」

こうして昼過ぎまで絶叫系アトラクション巡りが続いたのであった ~fin~

聡「finじゃねぇ!! 勝手に終わらせんな!!」
理沙「・・・誰に言ってるの?」
聡「い、いや、何でもない・・・」
理沙「次はどれにしようね~♪」

昼食を食べながら、理沙はパンフレットを楽しそうに見ている。
聡はぐったりして食事が喉を通らない様子だ。

聡「なぁ理沙、次はもう少しゆったりした乗り物にしないか?」
理沙「ゆったりってどんな?」
聡「そうだなぁ・・・あれとかどう?」

それは汽車の乗り物だった。
高い所にあり、線路は園内をぐるりと一周している。
どこにどんなアトラクションがあるかが上から眺められるというわけだ。

理沙「へぇー・・・楽しそう!」
聡「良かったぁ・・・

2人は汽車に乗った。
中々にリアルな作りをしている上に、運転席では汽笛が鳴らせるらしく、
子供が楽しそうにはしゃぎながら鳴らしている。
その姿を、理沙は静かに見つめていた。

聡「・・・どうした?」
理沙「えっ? 何が?」
聡「いや、じぃーっと前ばっかり見てるから、ひょっとして汽笛鳴らしたいのかなって」
理沙「そうじゃなくて・・・平和だなぁって」
聡「平和? んーまぁそうだろうけど」

そして汽車は元の場所へと戻ってきた。
園内をゆっくりと一周したため、時間にして10分少々休憩できた。
聡の気分も大分落ち着いている。

理沙「ねぇ聡・・・平和って良いね」
聡「あ、あぁ・・・?」
理沙「・・・なに?」
聡「名前呼び捨てにされたの、何か新鮮だったから」
理沙「あっ、ごめんなさい!」
聡「いやっ、いいんだ! むしろ嬉しいっつうか・・・」
理沙「うん・・・」
聡「・・・・・・」
理沙「・・・・・・」
聡「(・・・ど、どうしよう・・・観覧車は夕方って決めてたけど・・・)」
理沙「あっ、あれ行きたい!」
聡「へ?」

理沙に言われて指差された方を見ると・・・。

聡「うおぅっ!!」
理沙「・・・・・・」
聡「うわぁっ!!」
理沙「・・・・・・」
聡「ひいいいいいいぃっ!!」
理沙「・・・・・・」
聡「り、理沙っ! ここここわかったら、いいいいつでも言えよっ!」
理沙「大丈夫よ♪ すっごく楽しいから!」
聡「そ、そっか、ははは・・・ぎゃあああああああ!!」

お化け屋敷から出てきた聡の表情は、
絶叫マシーンに乗った後よりもさらにやつれて見えた。

理沙「大丈夫?」
聡「へ、平気平気・・・ははは」
理沙「・・・そこのベンチで休んでて。私飲み物持ってくる」
聡「だったら俺も一緒に・・・」

聡の返事を待たず、理沙は行ってしまった。

聡「・・・行こうと思ったんだけど・・・はぁ、何か俺、今日何も良いとこなしだなぁ」
子供「おかあさーん! ひっく・・・おかあさーん!!」
聡「・・・・・・」

・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。

理沙「おまたせー・・・あれ、聡? ・・・あっ」
聡「ほーら男の子だろ! 泣くなって!」
子供「ひっぐ・・・だっで・・・おがあざ・・・いない・・・」
聡「お兄ちゃんも一緒に探すから泣くな、な?」
子供「・・・うん」
聡「よし、じゃあ迷子になったお母さん探してあげないとな」
子供「おかあさんが迷子なの?」
聡「あぁそうだ! だから僕がしっかりしないといけないんだぞ?」
子供「・・・うん!」

迷子の子供の手を引いて母親を探す聡。
ああいうところは変わらないな、と理沙は思った。

聡「見当たらないなぁ・・・お母さん、何色の服着てたか覚えてるか?」
子供「んーと・・・しろ!」
聡「白・・・」

サッと辺りを見回しただけでも白い服を着た女性が5~6人はいた。
園内はそこそこに広い。ただ闇雲に歩いても見つからないかもしれないな・・・。

子供「おかあさん・・・」
聡「だ、大丈夫だって! 必ず見つかるからっ!」
理沙「聡君」
聡「あっ、理沙・・・?」

理沙の隣には白い服を着た見知らぬ女性が1人。
年齢は30代前半といったところだろうか?

子供「おかあさん!」
聡「へ?」
母親「全くもう! 勝手に行っちゃだめだってあれほど言ったでしょ!」
子供「ごめんなさい・・・」
母親「本当に、ご迷惑をお掛けしました」
理沙「いえ、いいんです。良かったね、お母さんと会えて」
子供「うん!」
母親「ありがとうございました。ほら、ちゃんとお礼言いなさい」
子供「ありがとうお姉ちゃん!」
理沙「もう迷子にならないようにね」
子供「うん! じゃあねー!」
母親「失礼します」

迷子の子供と母親は仲良く手を繋いで行った。
嬉しそうな理沙だが、聡はどこか浮かない表情だ。

理沙「・・・どうかしたの?」
聡「・・・すげーなーって」
理沙「え?」
聡「母親の事、あっという間に見つけてきてさ。
  あたふたしてた俺なんかとは大違いだよ」

理沙「そんな事ないよ。
   聡君が迷子の子と一緒だったから、私もお母さんを連れてこれたんだし」

聡「別にいいよ、んな気ぃ遣わなくても」
理沙「・・・拗ねてるの?」
聡「!! ちげーよ!!」
理沙「・・・・・・」

驚く理沙の表情を見てしまったと思った。
何1つ良い所がないと拗ねていたのを見透かされてついカッとなってしまった。

聡「わ、わりぃ・・・」
理沙「・・・ぷっ」
聡「?」
理沙「あははははははは!」
聡「なっ!?」

突然大声で笑い出した。
一体何がそんなに可笑しいのか分からないが、
目には薄っすら涙まで浮かべて本気で笑っている。

聡「何がそんなに可笑しいんだよ!」
理沙「あはは! だって、可愛いんだもん!」
聡「か、かわ・・・・お前なぁ!」
???「あ~やっぱり!」
聡「?」

聞き覚えのある声に聡は振り返った。

聡「笹川! それに・・・」
奈々「ほら~やっぱりさっきの笑い声って理沙さんじゃ~ん」

理沙「げっ!」
聡「理沙さん・・・えっ?」
理沙「理沙さん、どうしてここに? それに聡君まで」

理沙「まさか理沙達まで遊びに来てるとはぁ~・・・計算外;」
聡「ど、どういう・・・?」

理沙&奈々&聡「えぇ~!!?」

理沙「ごめんなさい!」

事の発端は理沙が見た雑誌。
そこにはデートの定番スポットとして遊園地が紹介されていた。
いつまでも仲が進展しない2人を気にかけた理沙は、
自分が『理沙』に成り済まして代わりにデートをする事で、
2人の仲を深めようと思ったのだそうだ。


聡「なんでそんな・・・」
奈々「いいえ、良くやったわ。さすが理沙さん!」
理沙&聡「え?」
奈々「あたしも気になってたのよぉ~。付き合い始めたっていうのにキスの1つもないし」

理沙「そうよ! 恋人同士って普通はキスするものなんでしょ!?」
奈々「ねー!」
理沙「キ、キスって・・・!」
理沙「雑誌にも書いてあったわ! 最後は観覧車でキスするものだって!」
理沙「り、理沙さんっ! そんなの読んじゃダメー!」
奈々「そうだったのか・・・あたしも耕介誘おうかな

理沙「協力するわよ奈々」
奈々「聞こえてる!?」
理沙「ふふんっ」

少し誇らしげな理沙だった。

理沙「と、とにかくっ! 私達はまだデートなんてできないの!」
奈々「えぇーなんでよぉー」

思いっきりむくれて言う奈々。『理沙』も同じようにむくれて見せる。


理沙「そうよぉー家じゃめえるっていうのが来るたびに嬉しそうにしてるくせにぃー」
理沙「り、理沙さん! しーっ!」
奈々「へぇ~~~」

ニヤニヤと笑いながら理沙を見る奈々。今まで見た事がないほど目が輝いている。

奈々「まっ、それは後で詳しく聞くとして・・・何でデートしちゃだめなのよ?」
理沙「だって私達、来年は受験生なんだし、やっぱり聡君と同じ大学行きたいし・・・」
奈々「でも今日遊園地誘ったら来たじゃん」
理沙「奈々ちゃん、あれはずるいと思うんだ;;」
奈々「~♪」

2人のやりとりを見ていた『理沙』が口を開く。


理沙「ダイガクっていう組織に入るために訓練してるのは分かるけど」
理沙「?」
理沙「適度に休息を取らないと効率が悪いわ。
   それに今日はせっかく遊園地に来たんですもの。
   今からデートしてきても良いんじゃないからしら?」


理沙「で、でも・・・」
奈々「良いんじゃない1日くらい。そんくらいで大学落ちやしないわよ」
理沙「う~ん・・・」
奈々「ほら、あんたも誘いなさいよっ!

肘で軽く突いて促がす。

聡「り、理沙」
理沙「・・・」
聡「その・・・えっと・・・い、行こうぜ」

そう言って手を差し出す聡。その手を茶色の瞳が見つめる。
その瞳は目の前に立つ恋人の目に真っ直ぐ向けられた。

理沙「・・・うん」
奈々「もぉ~やけちゃうな~このこのぉ~!」
理沙「ちょ、ちょっと奈々ちゃ~ん;」

理沙「よし、じゃあ早速観覧車ね」
理沙「ふぇっ!?」
奈々「大丈夫よ、さすがに中でナニしたかなんて野暮な事聞かないから♪」

ウィンクしつつ親指を立てる奈々。理沙の顔はみるみる赤くなっていく。

理沙「む、むむむ無理だよぉー!」
奈々「なぁ~に言ってんのよぉ~ホントは期待してるくせに~」
理沙「奈々ちゃん!!」

理沙「てれびのキスを見て“良いなー”って言ってたものね」
理沙「理沙さんまで~!」
奈々「キスだけで終わるかしらねぇ~♪」
理沙「キスだけって・・・! な、奈々ちゃん!!」
奈々「あ~れ~? あたしまだ何も言ってないんだけどなぁ~。
   何を想像したのかなぁ~?」

理沙「ううぅー!」
聡「ま、まぁ、理沙も恥ずかしがってる事だし、今日は普通に遊んでも」
奈々「聡君」
聡「ん?」

奈々の目が妖しく光った。

奈々「あの事、理沙にバレても良いの?」
聡「な、なんだよあの事って」
奈々「・・・・・・」
聡「・・・・・・ゴクリ」
奈々「・・・・・・生徒手帳に」
聡「リササン、カンランシャノリマショウ」
理沙「ええっ!? 聡君まで!? しかもカタコト!?」
聡「笹川に逆らったら俺の人生終わる・・・」

恥ずかしがりながらも、聡に手を引かれて2人は観覧車に乗った。
奈々と『理沙』は2人の邪魔をしないように先に帰る事にした。



帰り道、沈黙は奈々が破った。

奈々「理沙さんさぁ」

理沙「なにかしら?」
奈々「・・・本当は聡君の事、好きでしょ?」
理沙「なっ!?」

予想外の、だが図星の質問。しっかりと見抜かれていたようだ。

理沙「なっ、なんで?」

奈々「見てたらなんとなく。やぱり世界が違っても理沙は理沙って事なのかね~?」
理沙「ふっ、不覚だわ・・・」
奈々「・・・で、どうするんですか?」
理沙「どうもしないわ。顔は同じでも、彼は私の知ってる聡じゃないもの」

オッドアイの瞳はどこか遠くを見ているようだった。
彼女の世界にも聡や耕介らがいたという話は聞いている。
その世界に想いを馳せているのだろうか・・・。


奈々「理沙さん・・・」
理沙「私、今とても幸せよ」
奈々「え?」
理沙「ずっと望んでいたの、争いのない平和な世界を」
奈々「・・・・・・」
理沙「理沙もご家族の方々もよくしてくれるし、毎日が楽しいわ」
奈々「・・・世界が違っても」
理沙「?」
奈々「私、理沙の味方だから」
理沙「・・・ありがとう」

普段の大人びた表情とは違う、明るい笑顔だった。
そうして2人は家に着いた。


理沙「今日はありがとう」
奈々「え? いやいや、むしろ作戦邪魔しちゃったみたいで」
理沙「結果的に良くなったのは奈々が声をかけてくれたおかげよ」
奈々「いやいや~えへへ」
理沙「うふふ♪ それじゃあ明日もよろしくね」
奈々「はーい」

理沙は家に入って行った。
見送った奈々もドアに手をかけ・・・。

奈々「・・・明日?」

と疑問に思うのだった。



次の日。

奈々「どうだったのよぉ~? 良い加減言っちゃいなって~」
理沙「も、もう良いでしょー; 昨日は野暮な事聞かないって言ってたのにぃ・・・

家から学校までずっとこの調子で聞かれ続けている。
昨日も家で『理沙』に散々聞かれた。恥ずかしいから、というのは無駄なようだ。

先生「はーい静かにー」

担任教師が入ってきて手をパンパンと叩く。
ざわついていた生徒達も順々に喋るのをやめる。

担任教師「ではこれからホームルームを始めるが、その前に今日は転校生を紹介する」
理沙・奈々「転校生?」
担任教師「入りなさい」

???「失礼します」

教室内が再びざわつく中、1人の女子が教室に入ってきた。

理沙「・・・・・・」
奈々「・・・・・・」
担任教師「転校生の篠崎理香さんだ。
      名前からも分かる通り、篠崎の双子の姉妹だそうだ」


理香「篠崎理香です、よろしくお願いします」
理沙・奈々「えええええ~っ!!?」

平和だが、いつもと少し違う。そんな生活が始まるのだった。

                            ~fin~
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